2022年の世界ソーシャルワークデイ記念イベントは、『ハンセン病問題はまだ終わっていない~適切な医療・介護を提供するために~』と題して、回復者の方や支援者の方による講演が行われました。
ハンセン病回復者(注1)の生き方に触れ、ソーシャルワーカーとして思索する宿題を頂きました。当日資料は「誤った国の絶対隔離政策で人生被害」と題され、回復者が現在も闘い続けなければならない苦難は想像する事すら至難です。「らい予防法」が廃止され約25年、「らい予防法違憲国家賠償請求 勝訴判決」から約20年が経ちました。しかし、ハンセン病問題を風化させない為にも、法廃止や勝訴判決で落着してはならない事実を知り、意識を傾けなければならないです。
かつて、疾病を理由とする排除として、多くのハンセン病患者が強制的に療養所に収容されました。療養所(収容所)では、麻痺がある手足での貝塚掘削に伴う裂傷と化膿や切断。定員超過収容による栄養失調。一般医療機関での診療禁止。逃走者や秩序を乱す者を収監する監禁室。特別(患者輸送)列車での移動。自殺。遺体解剖等、正に日本のホロコースト(注2)が実在していました。平成8年「らい予防法」(隔離収容政策)は廃止されましたが、令和4年時点で全国に13の国立ハンセン療養所があります。現在も、「療養所での生活を余儀なくされる回復者」。地域で必要な支援等を受ける事が出来ず、「(療養所へ)再入所を余儀なくされる回復者」。「園(療養所)には絶対に戻らない…それは敗北と語る回復者」。それぞれの「人生被害」が今尚 続いています。
2022年世界ソーシャルワーカーデイは、『ハンセン病問題はまだ終わっていない ~適切な医療・介護を提供するために~ 』と題されています。ハンセン病問題は、治療や人権よりも「隔離」が優先された結果、生活、ひいては人生が奪われ続けています。昭和、平成、令和と時代が流れても、疾患や障害は安易に差別的取り扱いを受ける事があります。ハンセン病問題の本質はソーシャルワーカーが問い続けなければならない課題であり、教訓として次世代へ繋いでいく必要性を感じる研修でした。
(注1)かつて病気であって現在は回復している当事者
(注2)ドイツ国(ナチス・ドイツ)がユダヤ人などに対して組織的に行った絶滅政策
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